2月19日の雨水。
立春から2週間が過ぎ、
雪が雨に変わり氷が解けて水になる季節
ですが、春はまだもうちょっと先。
虫や小動物が冬眠から目覚め、
活動を始める啓蟄までもう少しですね。
人間は火を使って暖を取ったり、いろんな
食べ物を保存したり調理することができるおかげで、
冬眠もせず、穴蔵にひきこもることもなく
寒い冬を越せるのです。
とはいえ・・・
冷凍冷蔵庫や缶詰やフリーズドライの食品が出回って、
輸送技術の発展や栽培技術の研究の成果で、
年中食べ物が豊富なのは、ここ何十年かのお話。
寒い冬に備えて食糧を貯えたり、
長期にわたって同じように食べられる知恵と工夫を
昔の人はたくさん伝えてくれました。
その一つが「コンフィ」
塩や砂糖を使って保存する方法。
塩やハーブで下味をつけた鴨やアヒル、
豚などを低温の脂でじっくりと加熱したあと
そのまま冷やして脂ごと保存するというもの。
もう一つ、果物のコンフィチュールは、
砂糖をまぶして加熱しシロップごと保存するもの。
冷凍や真空保存技術が発達した現代ですから、
「あえてコンフィにしなくても? 」
という疑問でいろいろ調べてみましたら、ありました!
コンフィにすることで
お肉が柔らかく美味しくなる。
ということ。
コラーゲンが溶け出すのに適した条件で調理すると、
筋肉を取り囲む結合組織がゆるくなるので、
ほぐれるような柔らかいお肉になる。 そうなのです。
コラーゲンは短時間でとかそうとすると、
70℃以上の加熱が必要で、それだと筋肉に含まれる
アクチンが変性してお肉が堅くなってしまうそうです。
58℃で長時間
じっくりと加熱することでコラーゲンが溶け出し、
しかもアクチンの変性をさせない絶妙な温度なのです。
調理した脂ごと保存することにより、
うまみや肉汁を逃さず、
長い間おいしく食べられるというわけなのです。
温度計のなかった時代から作られてきたコンフィ。
この調理法にたどりつくまでに、
いったいどれだけの人の知恵と
手間がかかったのでしょうね。
受け継がれてきたレシピには
その理由がちゃんとあったのです。
科学的にその美味しさが解明されたのですから、
これからは保存目的よりも、
低温で火を入れたお肉の美味しさ優先で、
コンフィをいただきたいと思います。
しらき