「今日はどなたかの何か特別な日でしょうか」

 

お母様と二人の息子さんのお席で

オーダーのついでに 何気なくお尋ねしたら
「今日は…特別な日…になるか、ならないか…」

という気になるご返答。

 

 

「実は、今日 この子の合格発表の日で…。

合格したら、ここのアワビを食べたいと言うので
予約してたのです。

ここのアワビが大好きなの。

でも、もしダメでも、がんばったしお疲れ様ってことで
みんなで食事しようかって。

だから、楽しい食事になるか、

落ち込んでくら~い食事になるか…」

 

 

そう話ながらとり出された速達封筒は、未開封。

 

お昼ごろ届いたけれど、
お父さんと一緒に開封されるということで、

お店まで持ってこられたのです。

 

 

「噂なんですけど・・・

合格してる子の封筒は いろんな書類が入ってるから大きい?
厚みが…らしいんですけど…

これ、薄いですよね…いえ、聞いた話なんですけどね・・・」

 

 

もしダメだった時のショックが小さくすむようにか
お母様は息子さんの方を見ながら、 一言ひとこと
言葉を選んで話してるのが よくわかります。

 

 

「でも、いいんです。
難しいって言われたところ受けたんだし。
毎日11時まで頑張ったんだから、ね!!」

 

「えぇ!11時ですか? 毎日!!」

 

「はい。土日は朝から行って、迎えにいくのはたいてい11時ごろで…」

 

 

すごいねぇ。頑張ってきたんだね。 毎日11時まで!
頑張ってきたことは 決して無駄な時間ではないよ!
なんて、ありきたりな言葉しか思いつきませんが
まだ 結果も聞いてないのに なぐさめの言葉を探す私…。
とりあえず。。。
お飲物だけオーダーのあと、待つこと十数分。

 

遅れてこられたお父様が着席されたご様子。

気になるけれど、お料理のオーダーまで、
祈るような気持ちで 他のお客様のテーブルを回っておりました。
なぜか 私まで ドキドキ ドキドキ ドキドキ・・・

 

 

さぁ、 結果は・・・

恐る恐るオーダーのお飲物をお持ちした時、
お母様がテーブルの上を指され「これ…」

「合格通知」のカードです。
うわぁ。よかった!!

合格おめでとうございます!!

お祝いのお食事楽しんでくださいね。

 

もう まるで身内のように嬉しくて。

 

 

もちろん オーダーはアワビのコース。
えぞあわび

それまでの、張り詰めた空気が一気にほどけて
一足早く 春を迎えたご家族に
テーマどおり「春の兆し」で 笑顔の絶えない、
楽しいお祝いの席となりました。

 

 

 

「合格おめでとう」のデザートプレートを用意したら
とても 喜んで下さって、

「来年、お兄ちゃんが高校受験なので、
そしたら またここに来ますね。」

 

って 「また来るね」いただきました。

 

 

朝早くから深夜まで、サポートし続けてきたお母様、
本当にお疲れ様でした。

 

 

そして、「曙で食べるアワビが好き」って
当店を選んでくれたU君。

お勉強、ますます頑張ってね。
また、来年。
ご家族そろってお会いできる日を 心よりお待ち申し上げます!

しらき