昔話の「一寸法師」 はちいさな男の子のお話。
どのくらい小さい? 「寸」は親指の幅が元になっていて 約3㎝。
「3センチ法師」 う~ん・・・ やっぱり「一寸」でしょ。
昭和33年以降、法律上では「メートル法」が基準ですが、
大工さんや和裁では現代でも使われる長さの単位です。
慣用的に、「寸志」 「寸暇を惜しむ」
「寸前」 「寸止め」 などは よく使われている言葉ですね。
少々、説明が長くなりましたが
ここからが、本題 「夏の八寸」
八寸とは、その名の通り八寸(24㎝)の器
をつかった 前菜の盛り合わせ。
現代では、このサイズに関係なく、
単に前菜の盛り合わせを指すこともあります。
もともとの語源は、茶の湯千利休が
京都洛南の八幡宮の神器から
ヒントを得て作ったといわれるもので
八寸角の杉のへぎ木地の角盆のことでした。
ディナーでは、この八寸に
酒の肴になるような、海の幸、山の幸を
美しく盛り込みました。
まずは、ハモの手まり寿司
京料理では欠かせない
夏の魚 ハモです。
大葉とハーブのさわやかなシャリに
ハモと梅肉ジュレ。
しっかりと骨切りされたハモは
花開いたように 華やか。
淡泊で上品な手まり寿司です。
帝釈シャモの酢味噌かけ
自然いっぱいの帝釈峡で
添加物を使用しない飼料と
長期間(通常の約3倍)飼育で、
肉質の締まったシャモを
ゆっくりと火入れしました。
まろやかな酸味と マスタードの辛味
フォアグラテリーヌを削って香りをつけた
ジューシイなコンフィです。
豆腐のムース
やさしい口当たりのムースは
お豆腐にすり身を加えたもの。
ウニを添えた ちょっと贅沢な一品。
昼間の暑さで お疲れの体をいやし、
元気を回復してくれるクエン酸。
酢橘あんと青柚子の 柑橘のチカラです。
夏野菜の揚げ浸し
なすや、ズッキーニ、トマトを揚げて
お出汁に漬け込みました。
仕上げに
きーんと冷たい 出汁氷を少々。
夏ならではの 小鉢です。
八寸から はじまるコース
〆のお食事は 季節のお茶漬け をご用意いたします。
緑茶で炊いたごはんに
さっと炙った白身魚
切り干し大根の梅酢漬け、
ゴマの風味と辛みがアクセントの
ルッコラセルバチカを浅漬けにして
柚香がふんわり包み込む
お茶漬けです。
お肉を楽しんだあと欲しくなる
「ちょっとさっぱりしたもの。」
塩味、酸味、苦み、甘味、
そして 炒り米を加えた香ばしい
お出汁のうまみが加わって・・・
なんだか懐かしく、
ほっとするおいしさの お茶漬けです。
「もうひとつの我が家」 で、
夏の夜、ちょっと くつろぎの時間はいかがでしょうか?
しらき